ボエティウスの哲学の慰めの仕組み
ボエティウスの置かれた状況
『哲学の慰め』は、ボエティウスが東ゴート王テオドリック大王に反逆の罪を着せられ、投獄された時に書かれた作品です。不当な告発によって失意のどん底に突き落とされたボエティウスは、かつて学んだ哲学を思い出そうとするものの、激しい怒りと悲しみに苛まれ、哲学に慰めを見出すことができません。
女神哲学の登場
そこに現れたのが、女神の姿をした哲学です。哲学は、ボエティウスの嘆きを優しく受け止め、彼の心を蝕む怒りや悲しみ、絶望を取り除こうと試みます。ボエティウスが囚われているのは肉体だけであり、真の自己である理性、すなわち魂は自由であることを哲学は説きます。
対話形式による慰め
『哲学の慰め』は、ボエティウスと女神哲学との対話形式で進んでいきます。哲学は、詩や歌、論理的な議論などを巧みに使い分けながら、ボエティウスに語りかけます。ボエティウスもまた、自身の苦悩を率直に哲学に打ち明け、対話を重ねていく中で、徐々に心の平静を取り戻していきます。
運命の輪と神の摂理
哲学は、ボエティウスが陥っている不幸の原因が、移ろいやすい運命のいたずらであることを説きます。そして、一見不条理に見える運命の支配も、実は神の摂理の一部であることを明らかにします。神は完全な善であり、世界を善なる方向へと導いているため、一見不幸に見える出来事も、長い目で見れば必然的なものであるとボエティウスは納得していきます。
真の幸福の探求
哲学は、真の幸福とは何かを問い直し、地位や名誉、富などの外的なものに依存する幸福の脆さを指摘します。真の幸福は、理性的な魂が持つ徳によってのみ達成されると説き、ボエティウスに哲学に立ち返り、理性に従って生きるように促します。
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