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ボエティウスの哲学の慰めの世界

ボエティウスの哲学の慰めの世界

哲学という人格化された女性との対話

「哲学の慰め」は、ローマの哲学者であり政治家であったボエティウスによって、獄中にて執筆されました。彼は無実の罪で投獄され、死を待つ身でした。 作品は、絶望の淵にいるボエティウスの前に、哲学が擬人化された女性の姿で現れる場面から始まります。哲学は、嘆き悲しむボエティウスに、慰めを与え、真の幸福へと導こうとします。ボエティウスは、自身の不運を嘆き、かつて信じていた哲学にさえ疑問を抱きますが、哲学は彼に様々な議論や例え話を提示することで、彼の誤った考えを正し、真の幸福とは何かを教えようとします。

運命の輪と神の摂理

ボエティウスを苦しめる大きな問題の一つに、運命の無慈悲さがあります。彼はかつて高い地位にありながら、一夜にして全てを失い、死を待つ身となりました。哲学は、運命の輪の概念を用い、人間の栄枯盛衰は避けられないものであることを説明します。しかし、同時に、この世の出来事は全て神の摂理によって支配されており、一見不条理に見える出来事も、神の視点から見れば、必然的なものであると説きます。

真の幸福の追求

哲学は、ボエティウスに対して、真の幸福は外部の物や地位、名誉などではなく、人間の魂の内側に存在すると説きます。真の幸福とは、理性に従って生きること、そして永遠不変なもの、すなわち神を追求することによってのみ得られるとされます。ボエティウスは、哲学との対話を通して、自身の置かれた状況を新たな視点から見つめ直し、真の幸福へと向かう道を模索していきます。

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