ホーソーンの緋文字の構成
構成
ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』は、大きく分けて三つの部分から構成されています。
第一部 獄門台
物語は、17世紀のボストン、ピューリタン社会における姦通罪で捕らえられたヘスター・プリンと、その娘パールが登場する場面から始まります。ヘスターは、刑務所から引き立てられ、広場の中央にある獄門台の上に立たされ、人々の好奇の目に晒されます。彼女は、胸に“A”(Adultery=姦通)の緋文字を縫い付けられた衣服を身に着けさせられています。群衆の中には、ヘスターの夫であるロジャー・チリングワースの姿もありました。彼は、変装して身分を隠し、ヘスターに近づきます。
第二部 七年後
それから7年の歳月が流れ、ヘスターとパールは町外れの小屋で質素な生活を送っていました。ヘスターは、その裁縫の腕で生計を立てながら、貧しい人々や病める人々に献身的に尽くし、人々の心からの尊敬を集めるようになっていました。一方、ヘスターの姦通の相手であり、パールの父親でもあるアーサー・ディムズデールは、町の牧師として高い社会的地位と人々の尊敬を集めていました。しかし、彼は自らの罪の意識に苦しめられ、心身ともに衰弱していく一方でした。
第三部 再び獄門台へ
物語は、ディムズデールが選挙日の説教を終えた後、ヘスターとパールと共に獄門台に上り、罪を告白して息絶える場面で最高潮を迎えます。チリングワースは、復讐の目的を果たすことなく、その場に倒れ伏します。ヘスターは、その後も町に残って、人々のために生き続け、その死後、ディムズデールと同じ墓地に埋葬されました。