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ホワイトヘッドの観念の冒険の構成

ホワイトヘッドの観念の冒険の構成

第一章 序論 探求の動機

 本章では、ホワイトヘッド自身の哲学への姿勢と本書全体を貫く問題意識、方法意識が語られます。伝統的な哲学が陥ってきた誤謬を指摘し、「思弁」の必要性を説き、哲学と科学の関係に言及しつつ、現代における哲学の課題を提示します。

第二章 プラトンの宇宙論における宇宙の結合原理

 本章では、西洋哲学の基礎を築いたプラトンの哲学を取り上げ、その宇宙論における諸概念を詳細に分析します。特に、プラトンの対話篇における「ソフィスト」と「ティマイオス」に焦点を当て、イデア論と現実世界との関係性、生成的宇宙論における「必然性」「理性」「神」といった概念を考察します。

第三章 プラトンの宇宙論における神の機能

 本章では、プラトンの宇宙論における「神」の役割を、特に世界創造における機能という観点から考察します。前章に引き続き「ティマイオス」を主なテキストとし、神による世界創造の過程、神とイデア、神と魂、神と宇宙の関係性を分析します。

第四章 アリストテレスの宇宙論

 本章では、プラトンの弟子であり、独自の哲学体系を構築したアリストテレスの宇宙論を考察します。プラトンのイデア論を批判的に継承したアリストテレスの「形相因」と「質料因」の概念、運動と変化における「潜在態」と「現実態」の概念を分析し、その宇宙論における特徴を明らかにします。

第五章 中世における科学と哲学

 本章では、古代ギリシャ哲学を継承し、キリスト教神学と融合した中世における科学と哲学の展開を概観します。アウグスティヌスやトマス・アクィナスといった主要な思想家の業績を辿りながら、中世における宇宙論、神学と哲学の関係、理性と信仰の問題などを考察します。

第六章 ルネサンス

 本章では、中世スコラ哲学の権威が失墜し、新たな思想が台頭したルネサンス期における科学革命を取り上げます。コペルニクス、ケプラー、ガリレオといった科学者の業績と、彼らの思想が従来の宇宙観や神観に与えた影響を考察します。

第七章 デカルト

 本章では、近代哲学の祖とされるデカルトの思想を、特にその方法論と形而上学に焦点を当てて考察します。「我思う、ゆえに我あり」という有名な命題に代表されるデカルトの主観主義、心身二元論、神の存在証明などを分析し、その後の西洋哲学に与えた影響力の大きさを明らかにします。

第八章 物質の概念の振動

 本章では、17世紀から18世紀にかけて展開された自然哲学における「物質」概念の変遷を辿ります。ニュートン力学の登場により、物質はもはやアリストテレス的な質料と形相からなる実体ではなく、空間における質点として捉えられるようになりました。この物質概念の変化が、その後の科学の発展に与えた影響を考察します。

第九章 科学における観念の相対性

 本章では、19世紀における科学の進歩、特に電磁気学の発展が、それまでのニュートン力学に基づく絶対空間・絶対時間という概念に修正を迫るようになったことを論じます。電磁気学における「場」の概念の登場とその哲学的意義、アインシュタインの相対性理論へと繋がる科学における「観念の相対性」を考察します。

第十章 コングロマリットの理論

 本章では、ホワイトヘッド自身の哲学の核心に迫る「コングロマリットの理論」を展開します。これは、世界を構成する究極的な要素として、従来の物質ではなく、経験のミニマム単位としての「現実的事象」を想定するものです。この「現実的事象」は、時間と空間の両方の側面を持ち、他の現実的事象との関係性の中で成立するという、関係性の概念を重視した独自の理論です。

第十一章 測定の理論

 本章では、現代科学における「測定」の概念を哲学的に分析します。測定とは、対象に数値を対応させることによって、その性質を客観的に把握しようとする営みですが、ホワイトヘッドは、測定行為には、対象と測定者、そして用いられる測定器具との間の複雑な関係が介在していることを指摘し、科学における「客観性」の問題を考察します。

第十二章 時空間における量

 本章では、現代物理学における時空間の概念を、哲学的な観点から考察します。ニュートン力学における絶対空間・絶対時間の概念が、相対性理論によってどのように変容したのかを解説し、時間と空間が不可分に結びついた四次元時空の概念を説明します。

第十三章 抽象化の系譜

 本章では、人間が世界を認識する際の「抽象化」というプロセスに焦点を当てます。感覚経験から出発し、そこから普遍的な概念や法則を導き出す抽象化のプロセスは、科学や哲学において重要な役割を果たしますが、ホワイトヘッドは、抽象化には、常に元の具体的な経験からある側面を切り離すという側面があることを指摘し、その限界と可能性を考察します。

第十四章 量と質の二つの立場

 本章では、世界を理解する二つの対照的な立場として、「量」と「質」の概念を取り上げます。科学は、主に量的な分析を通じて世界の法則性を明らかにしようとしますが、一方で、人間の経験は、質的な側面、すなわち、感覚や感情、価値観といった側面を含んでいます。ホワイトヘッドは、この二つの立場を統合し、量と質の両方を包含する、より包括的な世界観を構築する必要性を論じます。

第十五章 科学と哲学

 本章では、科学と哲学の関係について、改めて考察します。科学は、客観的な観測と実験に基づいて、世界の法則性を明らかにしようとしますが、哲学は、より根本的な問題、例えば、存在の意味、認識の nature、価値の根拠などを探求します。ホワイトヘッドは、科学と哲学は、互いに補完し合う関係にあり、両者の対話を通じて、より深い人間理解、世界理解が可能になると論じます。

第十六章 終論

 本章では、本書全体を総括し、ホワイトヘッド自身の哲学的立場を要約します。現代文明における科学技術の進歩は、一方で、人間疎外や環境問題といった新たな問題を生み出しています。ホワイトヘッドは、こうした問題を克服するために、科学と哲学、理性と感情、客観と主観を統合する、新しい「有機的な」世界観の必要性を訴えます。

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