## ホメロスのオデュッセイアのメッセージ
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ホメロス的英雄観
「オデュッセイア」は、トロイア戦争後の英雄オデュッセウスの10年に及ぶ苦難と帰還の旅を描いた叙事詩です。彼の旅を通して、ホメロスは古代ギリシャ人が理想とした英雄像を浮き彫りにしています。
オデュッセウスは、武勇だけでなく、知性や雄弁さにも長けた人物として描かれています。彼は巨大な怪物キュクロプスを出し抜いたり、魔女キルケの誘惑を退けたりする際に、その機転と巧みな話術を駆使します。これは、古代ギリシャにおいては、腕力だけでなく知恵や言葉の力もまた、英雄にとって重要な要素であったことを示唆しています。
さらに、オデュッセウスは、故郷と家族への強い愛情を持つ人物として描かれています。彼は幾度となく訪れる試練にもめげず、愛する妻ペネロペと息子テレマコスのもとへ帰ることを強く願っています。このことから、家族愛や故郷への忠誠心もまた、古代ギリシャの英雄が重視した価値観であったことがうかがえます。
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運命と自由意志
「オデュッセイア」では、神々の存在が人間の運命を大きく左右する様子が描かれています。オデュッセウスは、海神ポセイドンの怒りを買い、故郷への帰還を阻まれ続けます。一方、女神アテナは彼を助け、様々な困難を乗り越えるよう導きます。
しかしながら、オデュッセウス自身もまた、自身の選択と行動によって運命を切り開いていく姿が描かれています。彼は、カリュプソの不死の誘いを断ち、自らの意志で故郷へ帰る道を選びます。
このように、「オデュッセイア」は、人間の運命は神々の力に大きく影響される一方で、個人の自由意志や選択もまた重要な役割を果たすという、古代ギリシャにおける運命観を反映しています。
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