ホブスンの帝国主義論を読んだ後に読むべき本
帝国主義の解剖 – エドワード・サイード
エドワード・サイードの『オリエンタリズム』は、西洋が東洋をどのように表象し、支配してきたかを批判的に分析した画期的な著作として知られていますが、その続編ともいえる本書『帝国主義の解剖』では、帝国主義というシステムそのものに焦点を当て、その歴史的展開、思想的背景、現代社会への影響を多角的に考察しています。
ホブソンが資本主義の経済的論理から帝国主義を分析したのに対し、サイードは文化や知識、表象といったより広い文脈から帝国主義の構造を解き明かそうと試みています。彼は、帝国主義は単なる軍事力や経済力によって成り立つのではなく、被支配者を劣った存在として描き出す言説やイメージ、知識体系によって正当化され、維持されてきたと主張します。
サイードは、イギリスによるインド支配やフランスによるアルジェリア支配といった具体的な事例を分析しながら、西洋がどのように東洋を「オリエント」というステレオタイプに押し込め、自らの優位性を正当化してきたかを明らかにしています。
彼はまた、帝国主義がもたらした文化的影響についても深く考察し、西洋中心主義的な歴史観や文化観を批判的に検討しています。
本書は、ホブソンの帝国主義論で提示された経済的な視点に加えて、文化や表象といったより広範な視点から帝国主義を理解する上で非常に示唆に富む内容となっています。特に、現代社会における帝国主義の遺産やその影響に関心のある読者にとっては、必読の書と言えるでしょう。