ホブスンの帝国主義論の発想
資本主義の矛盾と帝国主義
ホブソンは、帝国主義の原因を資本主義経済の矛盾に求めました。彼は、当時のイギリス社会を観察し、過剰な資本と生産力の過剰が、帝国主義的な膨張を促していると分析しました。
過剰資本の問題
ホブソンによれば、資本主義社会では、資本家の間で激しい競争が繰り広げられる結果、一部の資本家に富が集中します。一方で、労働者階級は低賃金に抑えられ、購買力が不足します。このため、生産された商品を国内で消費しきれなくなり、過剰な資本が生まれます。
海外市場の獲得と帝国主義
過剰な資本を抱えた資本家は、新たな投資先を求めて海外に進出します。そして、植民地獲得や勢力圏の拡大を通じて、自国の商品を売り込む市場を確保しようとします。ホブソンは、このような経済的な動機が、帝国主義の根本的な原因であると主張しました。
少数者の利益のための帝国主義
ホブソンは、帝国主義は国民全体に利益をもたらすのではなく、一部の資本家や金融業者など、少数の特権階級の利益のためにのみ行われると批判しました。彼は、帝国主義によって得られる利益は、ごく一部の人々に集中し、大多数の人々は、むしろ経済的な負担を強いられることになると指摘しました。