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ホブスンの帝国主義論の思索

## ホブスンの帝国主義論の思索

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ホブソンの主張

ホブソンは、1902年に出版した著書『帝国主義論』の中で、帝国主義を資本主義の必然的な帰結として批判的に分析しました。彼は、帝国主義の原因を経済的な側面に求め、以下のような論点を展開しました。

* **過剰資本と過少消費の問題:** 資本主義の進展は、生産力の向上と富の集中をもたらしますが、同時に労働者階級の購買力を低下させます。この需給の不均衡、すなわち過剰資本と過少消費の問題が、資本家階級に新たな投資先を海外に求めさせる原動力となります。
* **金融資本と独占資本の台頭:** 19世紀後半には、銀行などの金融機関が巨大化し、産業資本と結びついて、より高い利益を求めて海外進出を推し進めるようになりました。また、独占的な地位を築いた企業は、国内市場では飽き足らず、海外市場の支配を目的として帝国主義政策を支持しました。
* **国家による帝国主義の推進:** 資本家階級の圧力や、国民国家間の競争、国民のナショナリズムの高揚といった要因によって、国家は帝国主義政策を積極的に推進するようになりました。植民地獲得競争は、列強間の対立を激化させ、第一次世界大戦の遠因ともなりました。

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ホブソンの分析の意義

ホブソンの帝国主義論は、従来の政治・軍事的な要因に加えて、経済的な要因を重視した点で画期的でした。彼の分析は、マルクス主義の経済決定論とは一線を画すものの、資本主義の矛盾と帝国主義の関連性を明らかにした点で、その後の帝国主義研究に大きな影響を与えました。特に、レーニンの帝国主義論は、ホブソンの分析を継承・発展させたものとして知られています。

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ホブソンの限界

ホブソンの分析は、今日の視点から見ると、いくつかの限界も指摘されています。

* **経済決定論的な側面:** ホブソンは、帝国主義の原因を経済的な要因に求めすぎており、政治・イデオロギー・文化といった他の要因を軽視しているという指摘があります。
* **欧米中心主義的な視点:** ホブソンの分析は、主にヨーロッパ列強による帝国主義に焦点を当てており、アジアやアフリカにおける帝国主義の特異性や、被植民地側の視点が欠如しているという批判があります。

これらの限界はあるものの、ホブソンの帝国主義論は、資本主義と帝国主義の関連性を鋭く指摘しており、現代社会における経済的不平等や国際関係を考える上でも示唆に富む内容を含んでいます。

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