ホッブズのリヴァイアサンを面白く読む方法
リヴァイアサン:難解の壁を越えるために
トーマス・ホッブズの『リヴァイアサン』は、西洋思想の金字塔と称されるほど重要な書物ですが、同時に難解なことで有名です。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、この巨著をより面白く、そして深く理解することができます。
1. 現代社会とのつながりを見出す
『リヴァイアサン』が書かれたのは17世紀、イギリスが内戦の渦中にあった時代です。ホッブズは、人間の自然状態は「万人の万人に対する闘争」であり、国家という絶対的な権力によってのみ秩序が保たれると主張しました。
現代社会においても、国家間の紛争、テロリズム、国内の政治対立など、秩序と混沌の狭間で揺れ動く様は、ホッブズの思想と共鳴する部分が多く見られます。
現代社会の諸問題と照らし合わせながら読むことで、『リヴァイアサン』は単なる古典ではなく、現代社会の抱える問題を鋭く分析するためのツールとして、新鮮な視点を与えてくれるでしょう。
2. ホッブズの論理展開を追う
『リヴァイアサン』は、幾何学的な論理展開によって人間の自然状態から国家の必然性を導き出す、緻密な論理構成が特徴です。難解と感じる場合は、一つ一つの定義や命題を丁寧に確認しながら読み進めることが重要です。
例えば、「自然権」「自然状態」「社会契約」といった重要な概念は、それぞれどのように定義され、互いにどのように関連しているのか? ホッブズの論理展開を理解することで、彼の主張の根底にある思想が見えてくるはずです。
3. 批判的な視点を持つ
ホッブズの主張は、当時としては非常に革新的で、同時に多くの批判を呼びました。絶対的な権力を肯定する国家論は、現代の民主主義的な視点からは受け入れがたいと感じる人もいるかもしれません。
しかし、重要なのは、ホッブズの主張を鵜呑みにするのではなく、批判的な視点を持って読み解くことです。彼の思想の限界や問題点を明らかにすることで、現代社会における国家や権力について、より深く考えるきっかけになるでしょう。
4. 分かりやすい解説書や注釈を活用する
『リヴァイアサン』は原文で読むのは容易ではありません。現代語訳や注釈の充実した版を選ぶ、あるいは解説書などを併読することで、内容理解を深めることが可能です。
解説書は、ホッブズの思想的背景や『リヴァイアサン』が書かれた当時の歴史的状況、そしてその後の思想界への影響などを知る上で役立ちます。
5. 議論を楽しむ
『リヴァイアサン』は、出版当時から多くの議論を巻き起こしてきた書物です。友人と読書会を開いたり、オンラインのフォーラムで議論したりすることで、多様な解釈に触れ、自身の理解を深めることができます。
他者の意見に耳を傾けながら、自分自身の考えを整理し、明確に表現することで、ホッブズの思想はより一層、鮮やかに立ち上がってくるでしょう。