ホッブズのリヴァイアサンの思索
自然状態における人間
ホッブズは、人間の自然状態を「万人の万人に対する闘争」と表現しました。これは、政府や法律が存在しない状態では、人間は自己保存の本能に突き動かされ、他者を出し抜くため、あるいは自衛のために、あらゆる手段を用いると考えたからです。
自然状態においては、道徳や正義、所有の概念は存在せず、人間の生活は「孤独で、貧しく、汚く、残酷で、短い」ものとなるとホッブズは主張しました。
社会契約とリヴァイアサン
自然状態の恐怖から逃れるために、人間は「社会契約」を結び、自己の一部を放棄して、絶対的な権力を持つ主権者に服従することに同意するとホッブズは考えました。
この主権者をホッブズは「リヴァイアサン」、すなわち聖書に登場する巨大な怪物になぞらえました。リヴァイアサンは、人々の安全と秩序を保障するために、法律を制定し、違反者には罰を与える絶対的な権限を持つ存在です。
ホッブズは、リヴァイアサンの統治形態については、君主制が最も望ましいと考えていましたが、重要なのは統治形態ではなく、主権者の権力が絶対的であることだとしました。