ホジスキンの労働擁護論を読んだ後に読むべき本
考察対象の本:
『所有論』(プルードン)
ホジキン『労働擁護論』とプルードン『所有論』の関連性:
ホジキンは『労働擁護論』の中で、労働者階級の貧困問題を取り上げ、その原因は労働者が生産手段を所有していないこと、そして労働の成果を正当に受け取っていないことにあると主張しました。彼は、労働こそが価値の源泉であるという労働価値説に基づき、労働者が自らの労働によってより良い生活を送れるように、社会改革が必要であると訴えました。
プルードンの『所有論』は、ホジキンよりもさらにラディカルな視点から所有の概念そのものに疑問を投げかける著作です。プルードンは、有名な「所有とは盗みである」という言葉に代表されるように、あらゆる形態の私的所有を否定し、労働者が生産手段を共同で所有・管理するアナーキスト的な社会の実現を主張しました。
プルードン『所有論』を読む意義:
* ホジキンの労働価値説をさらに深掘りし、所有と労働の関係についてより根本的な考察を深めることができる。
* ホジキンの主張は、あくまで資本主義体制内での労働者の権利拡大を目指したものでしたが、プルードンは資本主義そのものを否定し、全く異なる社会システムを構想していた。プルードンを読むことで、社会主義思想の多様性と、その後の社会主義運動への影響について理解を深めることができる。
* ホジキンは具体的な政策提言を行わなかったのに対し、プルードンは相互扶助に基づく協同組合運動を提唱するなど、具体的な社会変革の方法論を示した。プルードンの実践的な側面に注目することで、社会思想と現実社会との関わりについて考えるきっかけを得ることができる。
結論:
ホジキン『労働擁護論』は、労働問題や社会主義思想への導入として重要な著作です。しかし、その主張はあくまで資本主義体制内での改革に留まっています。プルードン『所有論』を読むことで、所有と労働の関係についてよりラディカルな視点を得ることができ、ホジキンの思想を批判的に検討する材料を得ることができます。