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ホイジンガの中世の秋と人間

ホイジンガの中世の秋と人間

ホイジンガの思想における「遊び」概念

ヨハン・ホイジンガは、オランダの歴史家・文化史家で、その主著『中世の秋』において、14世紀から15世紀にかけての西ヨーロッパ文化を「中世の秋」と捉え、衰退と終末の様相を描き出しました。

ホイジンガは、文化の根源に「遊び」という概念を見出します。「遊び」は、現実の生活とは切り離された、自由で自発的な活動であり、それ自体に目的を持つものです。彼は、宗教、芸術、騎士道、宮廷文化など、中世文化の様々な側面に「遊び」の精神を見出し、それらが中世文化に独特の華やかさと豊かさをもたらしたと論じました。

「中世の秋」における人間の姿

ホイジンガは、『中世の秋』において、14~15世紀の西ヨーロッパ社会を、騎士道と敬虔という理想主義が衰退し、ペストの流行や百年戦争といった社会不安が広がる中で、人々が死や生の不安にさいなまれ、過剰な装飾や形式主義に逃避した時代として描いています。

華麗な騎士道の儀式や турнир は、もはや実質的な意味を失い、形式化し、ゲームと化していきました。宗教においても、熱狂的な神秘主義や宗教劇が流行し、現実逃避的な傾向が見られます。人々は、不安定な現実から逃れるかのように、幻想と遊戯の世界に没頭していったのです。

「中世の秋」が後世に与えた影響

ホイジンガの『中世の秋』は、西洋中世のイメージを決定づけた重要な著作とされ、歴史学だけでなく、文学、哲学、美術史など、幅広い分野に影響を与えました。

特に、中世文化を、それまでの暗黒時代観から脱却させ、独自の価値観を持つ時代として再評価するきっかけとなりました。一方で、「遊び」という概念で中世文化を解釈することについては、その後、様々な議論が巻き起こりました。

しかし、現代社会においてもなお、「中世の秋」が提示する問題は、人間の文化や歴史、そして人間存在そのものを考える上で重要な視点を提供していると言えるでしょう。

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