Skip to content Skip to footer

ホイジンガの『中世の秋』の周辺

## ホイジンガの『中世の秋』の周辺

###

**1. ヨハン・ホイジンガについて**

ヨハン・ホイジンガ(Johan Huizinga, 1872-1945)は、オランダの歴史家です。フローニンゲン大学で歴史学を学び、1896年に同大学で博士号を取得しました。その後、ライデン大学で歴史学の教授を務め、1942年までその職にありました。

###

**2. 『中世の秋』の概要**

『中世の秋』(原題: _Herfst der Middeleeuwen_)は、ホイジンガの代表作であり、1919年にオランダで出版されました。原題を直訳すると「中世の秋」となりますが、日本語では一般的に『中世の秋』と訳されています。本書は、14世紀から15世紀にかけてのフランスとネーデルラントの文化を、騎士道、恋愛、死、宗教などのテーマから分析し、中世末期の文化が、衰退しつつもなお、独自の美意識と精神性を保持していたことを描き出しました。

###

**3. 『中世の秋』の特徴**

『中世の秋』は、従来の歴史書とは異なる、いくつかの点で画期的な著作でした。

* **文化史的視点:** 従来の歴史書が政治や経済、戦争などの出来事を中心に記述していたのに対し、『中世の秋』は、文化や精神、生活様式といった側面に焦点を当てた、文化史の先駆的な著作とされています。
* **イメージ豊かな描写:** ホイジンガは、文学作品や絵画、音楽などの資料を駆使し、中世の人々の感情や思考を生き生きと描写しました。
* **主観的な解釈:** ホイジンガは、客観的な事実の羅列ではなく、彼自身の主観的な解釈を交えながら、中世文化の本質に迫ろうとしました。

###

**4. 『中世の秋』の影響**

『中世の秋』は、出版後、歴史学はもちろんのこと、文学、哲学、美術史など、さまざまな分野に大きな影響を与えました。本書は、中世に対する従来のイメージを覆し、中世文化の新たな側面を明らかにしただけでなく、歴史研究における文化史的アプローチの重要性を示しました。

###

**5. 批判と評価**

画期的な著作であった『中世の秋』ですが、出版以来、様々な批判も寄せられてきました。

* **史料の解釈:** ホイジンガの史料解釈が恣意的であるという批判や、特定の地域や時代を一般化しすぎているという指摘があります。
* **ロマン主義的解釈:** 中世文化を美化しすぎているという批判や、客観性に欠けるという指摘があります。

しかし、これらの批判にもかかわらず、『中世の秋』は、20世紀の歴史学において最も重要な著作の一つとして、現在も高く評価されています。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5