ペスタロッチのゲルトルートはいかにその子を教えるかの対極
「ペスタロッチのゲルトルートはいかにその子を教えるか」の内容
「ゲルトルートはいかにその子を教えるか」は、スイスの教育家ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチによって1801年に書かれた教育小説です。作中では、理想の教師として描かれるゲルトルートが、貧困や無知に苦しむ農村の子供たちに、生活と結びついた体験的な教育を行う様子が描かれています。ペスタロッチは、子供たちは生まれながらにして学習意欲と能力を持っており、適切な環境と指導があれば、自発的に成長していくことができると考えていました。
対極に位置する歴史的名著となりうる作品群
ペスタロッチの教育論と対照的な作品は、時代や地域、立場によって多岐に渡ります。ここでは、具体的な作品名を挙げる代わりに、対極的な立場となりうる作品群の特徴をいくつかご紹介します。
① 子供の自発性を否定する立場
ペスタロッチの教育論は、ルソーの「エミール」に代表されるように、子供は生まれながらにして善であり、自発的に成長していくという性善説的な人間観に基づいています。
一方で、古代ギリシャの哲学者プラトンは、著書「国家」の中で、厳格な国家統制のもとで教育を行うべきだと主張しました。プラトンは、人間は生まれながらにして欲望や衝動に支配されやすく、理性的な判断や行動は教育によって後天的に獲得されるものだと考えていました。
このように、人間の先天的な性質を善とみるか悪とみるか、あるいは白紙状態とみるかによって、教育に対する考え方は大きく異なってきます。
② 体験学習よりも知識注入を重視する立場
ペスタロッチは、子供たちが五感をフル活用して、自ら体験を通して学ぶことを重視しました。これは、机上の空論ではなく、実生活に役立つ知識や技能を身につけることを目的としていました。
しかし、古代中国の儒教では、古典の素読や暗記など、知識を一方的に教授することを重視していました。これは、道徳的な人間を育成し、社会秩序を維持することを目的としていました。
このように、教育の目的や内容に対する考え方によって、どのような教育方法が適切であると判断されるかは異なってきます。
③ 個別指導よりも一斉教授を重視する立場
ペスタロッチは、ゲルトルートが子供一人ひとりの個性や発達段階に合わせた個別指導を行っていることを高く評価しています。
しかし、近代的な学校教育システムにおいては、教師が大人数の生徒に対して一斉に授業を行う形態が一般的です。これは、限られた時間と資源の中で、効率的に知識や技能を教授することを目的としています。
このように、教育の効率性や社会的な要請によって、教育方法に対する考え方は変化してきました。
これらの要素を踏まえれば、「ペスタロッチのゲルトルートはいかにその子を教えるか」の対極に位置する歴史的名著として、様々な作品を検討することができます。