## ペスタロッチの「ゲルトルートはいかにその子を教えるか」と言語
ペスタロッチの言語観
ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ(1746-1827)は、その著書「ゲルトルートはいかにその子を教えるか」(1801年)の中で、言語が人間の思考と発達に不可欠な役割を果たすと主張しました。彼は、言語を単なるコミュニケーションの道具としてではなく、思考を形成し、世界を理解するための基盤となるものと見なしました。
「ゲルトルートはいかにその子を教えるか」における言語
「ゲルトルートはいかにその子を教えるか」は、架空の農婦ゲルトルートが、自身の子供たちだけでなく、村の子供たちにも効果的な教育方法を実践していく物語形式で書かれています。この作品の中で、ペスタロッチは、言語教育に関する具体的な方法を提示しています。
言語教育の段階
ペスタロッチは、言語教育を以下の3つの段階に分けました。
1. **事物学習:** 子供たちは、身の回りにある具体的な事物や現象を直接体験することから始めます。そして、それらの事物や現象を言葉で表現することを通して、言葉の意味を理解していきます。
2. **数・形学習:** 子供たちは、事物や現象を数量や形状といった抽象的な概念で捉えることを学びます。この段階では、数詞や図形の名前などを学習します。
3. **言語学習:** 子供たちは、文法や語彙などの言語の規則を体系的に学習します。そして、文章を読んだり書いたりすることを通して、より複雑な思考を表現できるようになります。
直観と経験に基づく言語教育
ペスタロッチは、子供たちが直観と経験を通して自然に言語を習得していくことを重視しました。彼は、子供たちに一方的に知識を詰め込むのではなく、子供たちが自発的に活動し、発見する喜びを感じながら学べるような環境を提供することの重要性を説いています。
会話と対話による言語発達
ペスタロッチは、子供たちが教師や他の子供たちと会話や対話をすることを通して、言語能力を効果的に高めていけると考えました。彼は、教師が一方的に教えるのではなく、子供たちの質問を引き出し、子供たちが自分の考えを自由に表現できるような雰囲気作りをすることを推奨しました。
母語の重要性
ペスタロッチは、子供たちが最初に学ぶ言語である母語の重要性を強調しました。彼は、子供たちが母語をしっかりと身につけることによって、思考力や表現力が育まれ、その後の外国語学習にも役立つと述べています。