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ベーコンのノヴム・オルガヌムの選択

## ベーコンのノヴム・オルガヌムの選択

フランシス・ベーコンの「ノヴム・オルガヌム」における「選択」の概念について、詳しく解説します。

フランシス・ベーコンの主著『ノヴム・オルガヌム』(1620年)は、アリストテレスの『オルガノン』に対抗するものとして書かれ、「新しい道具」を意味します。この書の中でベーコンは、従来の演繹法中心の学問方法を批判し、帰納法を重視した新しい科学的方法を提唱しました。

ベーコンは、自然の真理を探求するためには、先入観や偏見を取り払い、経験に基づいた知識を積み重ねていくことが重要だと考えました。その過程において「選択」は非常に重要な役割を果たします。

ベーコンは、帰納法のプロセスを大きく3つの段階に分けました。

1. **観察と経験**: まず、自然現象を注意深く観察し、可能な限り多くの経験的事実を収集します。
2. **選択と分類**: 収集した経験的事実の中から、研究対象にとって本質的な要素を選び出し、適切な基準で分類します。
3. **帰納**: 分類されたデータに基づいて、一般法則や原理を導き出します。

「選択」は、この第二段階「選択と分類」において重要な役割を果たします。

膨大な経験的事実の中から、どの要素を選び出し、どのように分類するかは、最終的に導き出される法則や原理に大きな影響を与えます。ベーコンは、適切な選択と分類を行うためには、以下の3種類の「イドラ」(偶像)を取り除く必要があると述べています。

1. **種族のイドラ**: 人間である限り、すべての人が共通に持つ偏見や先入観。
2. **洞窟のイドラ**: 個人の性格や経験に基づく偏見や先入観。
3. **市場のイドラ**: 言葉の誤用や曖昧な定義によって生じる偏見や先入観。

ベーコンは、「選択」のプロセスにおいて、以下の3つの表を用いることを提唱しました。

1. **存在と出現の表**: ある現象が存在する場合と存在しない場合の両方を記録することで、その現象に共通する本質的な要素を浮き彫りにします。
2. **程度の表**: ある現象が強い場合、弱い場合、存在しない場合などを比較することで、その現象の程度と他の要素との関連性を明らかにします。
3. **排除の表**: 上記の表を用いて、無関係な要素を排除し、本質的な要素を絞り込んでいきます。

ベーコンは、これらの表を用いることで、客観的な視点で経験的事実を選び出し、分類することができると考えました。そして、この「選択」のプロセスこそが、帰納法による正しい知識の獲得に不可欠であると主張しました。

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