## ベーコンのノヴム・オルガヌムの表現
表現の特徴
フランシス・ベーコンの主著『ノヴム・オルガヌム』は、1620年にラテン語で発表されました。この作品は、当時の学問を支配していたアリストテレス主義の演繹法を批判し、新たな科学的方法として帰納法を提唱したことで知られています。
ラテン語で書かれた理由
ベーコンは、自らの思想を当時の知識人階級に広めるために、国際的な学術言語であったラテン語で『ノヴム・オルガヌム』を執筆しました。
修辞技法と比喩
『ノヴム・オルガヌム』は、単なる学術書ではなく、文学的な表現にも富んだ作品です。ベーコンは、読者の理解を助けるために、様々な修辞技法や比喩を用いています。例えば、彼は、人間の知性を「歪んだ鏡」に、そして、先入観を「イドラ」（偶像）にたとえています。
アフォリズム形式
『ノヴム・オルガヌム』は、短い断章である「アフォリズム」と呼ばれる形式で書かれています。各アフォリズムは、それぞれ独立したテーマを扱いつつ、全体として相互に関連し合っています。このような形式によって、ベーコンは、自らの思想を簡潔かつ明快に表現することに成功しています。
具体的な事例
ベーコンは、抽象的な議論だけでなく、具体的な事例も豊富に挙げています。例えば、彼は、熱の性質を解明するために、様々な物質における熱の伝わり方を比較検討しています。このような帰納的な手法は、『ノヴム・オルガヌム』の中心的な主張を裏付ける根拠となっています。