ベーコンのノヴム・オルガヌムの構成
第一部
第一部は主に、スコラ哲学に対する批判、そしてベーコン自身の立場である帰納法について述べています。
まず、「人間の知性について」と題されたアフォリズム1-3で、ベーコンは人間が陥りやすい思考の誤謬について指摘します。
アフォリズム4-36では、ベーコンはスコラ哲学を批判し、従来の論理学の代わりに帰納法を提唱します。
アフォリズム37-92では、ベーコンが「イドラ」と呼ぶ、人間の認識を妨げる4つの偏見について説明します。
* **種族のイドラ**: 人間である以上、すべての人に共通する偏見
* **洞窟のイドラ**: 個人的な経験や環境によって生じる偏見
* **市場のイドラ**: 言葉の不正確さや曖昧性によって生じる偏見
* **劇場のイドラ**: 過去の哲学や学説などの権威に盲従することによって生じる偏見
アフォリズム93-129では、ベーコンは感覚と経験の重要性を強調し、帰納法の基礎を築きます。
第二部
第二部では、ベーコンは自身の帰納法の具体的な方法論を提示し、「解釈の性質」と「解釈のための助け」の二つに焦点を当てています。
まず、「解釈の性質」に関する議論として、アフォリズム1-20では、帰納法における「事実の収集」の重要性を説き、「事実の自然と実験の歴史」の必要性を唱えます。
続くアフォリズム21-52では、ベーコンは「解釈のための助け」として、27種類の「指示表」を提示します。これは、自然現象を観察し、分析するための具体的な方法論であり、帰納法の実践的な指針となるものです。
しかし、ベーコンは第二部の途中でノヴム・オルガヌムを未完結のまま終えています。本来は、第二部で示された帰納法を用いて得られた知識から、さらに高次の公理へと至る方法論が展開される予定でした。