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ベーコンの『ノヴム・オルガヌム』の思想的背景

## ベーコンの『ノヴム・オルガヌム』の思想的背景

ルネサンスの影響

フランシス・ベーコンは16世紀後半から17世紀初頭のイングランドに生き、ルネサンスの影響を強く受けました。ルネサンスは、中世のスコラ哲学が重視したアリストテレスの論理学や権威主義に対する反動として、人間理性による自然探求を重視する思想運動でした。ベーコンもまた、スコラ哲学の論理偏重を批判し、経験と帰納法に基づく新しい科学的方法を提唱しました。

大航海時代と地理上の発見

ベーコンが生きた時代は、大航海時代と重なります。当時のヨーロッパは大航海時代を通じて、世界各地の未知の動植物や文化、風習など、それまで知られていなかった膨大な知識を獲得しました。このことは、従来の世界観や知識体系を揺るがし、新しい知識の獲得と体系化への要求を高めました。ベーコンの経験主義と帰納法は、このような時代の要請に応えうるものとして、人々に受け入れられました。

宗教改革の影響

16世紀前半に始まった宗教改革は、カトリック教会の権威を揺るがし、聖書解釈の自由を主張しました。このことは、従来の権威や伝統に疑問を投げかけ、個人の理性による真理探求を促しました。ベーコンもまた、宗教改革の影響を受け、権威や伝統に盲従するのではなく、自らの理性と経験に基づいて真理を探求することの重要性を説きました。

印刷技術の発達

15世紀半ばに発明されたグーテンベルクの印刷技術は、ルネサンスの思想を広く普及させる上で重要な役割を果たしました。印刷技術の発達により、聖書や古典古代の書物が、ラテン語ではなく、各国語に翻訳され、多くの人々に読まれるようになりました。ベーコンもまた、印刷技術を活用し、自らの思想を広く普及させました。

マキャベリの政治思想

ベーコンは、ニッコロ・マキャベリの政治思想から影響を受けたとされています。マキャベリは『君主論』の中で、君主の政治的成功には、伝統的な道徳や宗教よりも、現実主義的な判断と行動が重要であると説きました。ベーコンもまた、自然を理解し、支配するためには、倫理や道徳といった先入観を捨て、現実的な視点から自然を観察し、分析する必要があると考えました。

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