## ベンタムのパノプティコンと時間
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監視の持続性
ジェレミー・ベンサムのパノプティコンは、一人の監視者がすべての被収容者を常時監視できる円形監獄の設計案として知られています。この設計の鍵となる要素の一つに「監視の持続性」があります。被収容者は常に監視されている可能性を意識させられるため、たとえ実際に監視されていない瞬間であっても、規律正しい行動を取るように促されます。
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時間の非対称性
パノプティコンにおける時間感覚は、監視者と被収容者との間で非対称性を持ちます。監視者は、いつ、誰を監視するかを自由に選択できます。一方、被収容者は、自分がいつ監視されているかを知ることができません。この時間の非対称性は、被収容者に絶え間ない不安と監視の圧力を与え、自己規律を強化する効果を生み出すと考えられます。
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時間の内部化
パノプティコンは、外部からの強制力ではなく、被収容者自身の内面に規律を植え付けることを目指しています。被収容者は、時間の経過とともに、常に監視されているという意識を内面化し、監視の目がない状況下でも規律正しい行動をとるようになります。このように、パノプティコンは時間を通じて、個人の内面にまで影響を与えることを目指したシステムと言えるでしょう。