## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の選択について
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ベンサムの道徳と立法の諸原理序説における選択
ジェレミー・ベンサムの主著『道徳と立法の諸原理序説』(1789年)は、功利主義の基礎を築いた書として知られています。この著作でベンサムは、「最大多数の最大幸福」という原則に基づいて、道徳と法律の体系を構築しようと試みました。そして、人間の行動の動機を快楽と苦痛に還元し、あらゆる行動は快楽を増大させ、苦痛を減少させるように評価されるべきだと主張しました。
この「選択」という概念は、ベンサムの功利主義において重要な役割を果たします。人間は常に快楽と苦痛の間に立たされており、どちらかを選択することを迫られます。そして、ベンサムによれば、道徳的に正しい行動とは、より多くの快楽を生み出し、より少ない苦痛をもたらす行動です。
ベンサムは、快楽と苦痛を定量化し、比較することを試みました。彼は、快楽と苦痛の強度、持続時間、確実性、近接性、多産性、純粋性、範囲といった要素を考慮することで、行動の道徳的な価値を計算できると考えました。
しかし、ベンサムの功利主義は、個人の権利や自由を軽視する可能性があるという批判も受けてきました。最大多数の最大幸福を追求するために、少数の犠牲を正当化してしまう危険性があるからです。