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ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の思索

## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の思索

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快楽と苦痛を指標とする功利主義

ベンサムは本書において、人間の行動の原動力となるのは「快楽」と「苦痛」であると断言します。そして、道徳や法律を含むあらゆる行動の善悪は、それがもたらす快楽と苦痛の総量によって判断されるべきだと主張します。

彼の提唱する「最大多数の最大幸福」という原則は、まさにこの考えに基づいています。 つまり、より多くの人々に、より多くの快楽をもたらす行動こそが善であり、逆に、より多くの人々に、より多くの苦痛をもたらす行動は悪であるとされます。

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量的功利主義と快楽計算

ベンサムは快楽と苦痛を、その強度、持続時間、確実性、近接性、多産性、純粋性、範囲という7つの基準で数値化し、比較することを提唱しました。 この「快楽計算」と呼ばれる手法は、一見すると客観的で合理的な判断基準を提供しているように思えます。

しかし、快楽や苦痛といった主観的な経験を数値化すること自体に無理があり、その測定基準も恣意的であるという批判は避けられません。

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法律と社会への応用

ベンサムは、自身の功利主義の考え方を法律と社会制度の構築に応用しようとしました。 彼は、法律の目的は個人の自由を不当に制限することではなく、社会全体の幸福を最大化することにあると主張しました。

刑罰についても、復讐ではなく犯罪の抑制と予防を目的とし、その効果を最大化するために厳格さと合理性を重視しました。 彼の思想は、19世紀のイギリスにおける法体系や社会改革に多大な影響を与えました。

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批判と影響

ベンサムの功利主義は、そのシンプルさと明快さから大きな影響力を持つ一方で、様々な批判も受けてきました。 特に、個人の権利の軽視や、質的に異なる快楽を同一視する点などが問題視されています。

しかし、彼の思想は、現代においても倫理学や政治哲学、経済学など幅広い分野で議論の対象となり続けています。

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