ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の対称性
序文における対称性
ベンサムは序文において、本書が人間の行為を評価する尺度としての「効用」の原理を基礎としていることを明確に述べています。この「効用」は、快楽を増やし苦痛を減らすという点で、人間の行動の指針として対称的な位置づけにあります。
快楽と苦痛の対称性
ベンサムの道徳哲学において、快楽と苦痛は対称的な関係にあります。彼は、人間の行動の目的は快楽の追求と苦痛の回避であると主張します。快楽を増大させる行為は善であり、苦痛をもたらす行為は悪とされます。
立法における対称性
ベンサムは、立法の目的もまた、最大多数の最大幸福を実現することであると主張します。これは、法律が個人の快楽と苦痛に影響を与えることを意味し、立法は個人の幸福を最大化するように設計されるべきであるという対称的な関係を示しています。
章立てにおける対称性
「道徳と立法の諸原理序説」の章立ては、必ずしも明確な対称構造を持っているわけではありません。しかし、快楽と苦痛の原理、そして最大幸福の原理を中心に据え、個人の行動から社会制度までを包括的に論じようとする姿勢には、一種の対称性が見て取れます。