## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の力
###
功利主義の体系化
ベンサムの『道徳と立法の諸原理序説』は、それまで漠然と議論されていた功利主義思想を、体系的な理論として提示した点において画期的でした。彼は、人間の行動の目的は「快楽の増大と苦痛の減少」にあると定義し、「最大多数の最大幸福」という原則を打ち出しました。この明確な定義と原則は、道徳や法律の判断基準として、非常に影響力を持つものとなりました。
###
立法への応用
ベンサムは、自身の功利主義理論を、立法や社会改革に積極的に応用しようとしました。彼は、法律は個人の自由を不当に制限するものではなく、最大多数の幸福を促進するために存在すべきだと主張しました。そして、刑罰についても、犯罪の抑止効果を高めるために、その種類や量を厳密に計算すべきだと論じました。このような彼の思想は、後の刑法や監獄制度の改革に大きな影響を与えました。
###
合理的で平易な文体
ベンサムは、難解な専門用語を避け、平易で論理的な文章で自らの思想を説明しました。これは、それまでの哲学書が難解なラテン語で書かれていた時代に、画期的なことでした。彼の著作は、専門家だけでなく、一般の人々にも広く読まれ、大きな影響を与えました。