## ベンサムの道徳と立法の諸原理序説の世界
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快楽と苦痛の支配
ベンサムは、人間の行動は快楽と苦痛という二つの主権者の支配下にあると主張します。
人は快楽を求め、苦痛を避けるように行動するという原則を「功利の原理」と呼び、道徳と立法の基礎に据えました。
行為の善悪は、それがもたらす快楽と苦痛の総量によって決まると考えました。
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最大多数の最大幸福
ベンサムは、道徳と立法の目標を「最大多数の最大幸福」の実現に定めました。
これは、可能な限り多くの人に、可能な限り多くの快楽をもたらすことを目指す考え方です。
個人の幸福だけでなく、社会全体の幸福を重視し、その総和を最大化することを目指しました。
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功利計算
行為の善悪を判断するために、ベンサムは「功利計算」と呼ばれる方法を提案しました。
これは、ある行為がもたらす快楽と苦痛を、その強度、持続時間、確実性、近接性、多産性、純粋性、範囲の七つの基準で測定し、総合的に評価するものです。
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法と刑罰の功利主義的解釈
ベンサムは、法と刑罰も功利の原理に基づいて設計されるべきだと主張しました。
法は、人々の行動を、社会全体の幸福を最大化する方向に導くように制定されるべきだと考えました。
また、刑罰は、犯罪によって生じる苦痛よりも大きな苦痛を与えることで、犯罪を抑止する効果を持つべきだとしました。
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社会改革への応用
ベンサムは自らの功利主義に基づき、当時の社会制度や慣習を批判し、様々な改革を提案しました。
貧困問題、刑務所制度、選挙制度など、幅広い分野に渡り、社会全体の幸福を最大化するような改革を訴えました。