## ベルンハイムの催眠術の理論と実際 の周辺
ベルンハイムとは？
フランツ・アントン・メスメル（1734-1815）の弟子であったスコットランド生まれの医師、ジョン・ファーガソンは、1778年に出版した著書「動物磁気入門」の中で、「動物磁気」の代替となる用語として「hypnotism」（催眠術）を初めて用いました。しかし、一般に催眠術の創始者として認識されているのは、19世紀前半に活躍したドイツの医師、ハインリヒ・ベルンハイム（1843-1919）です。
ベルンハイムの催眠術への取り組み
ベルンハイムは、当時の医学界で主流であった動物磁気を否定し、催眠現象を心理的なメカニズムによって説明しようとしました。彼は、催眠状態は被験者の想像力と暗示に対する感受性によって引き起こされると考え、それを「暗示感受性」と名付けました。
ベルンハイムの催眠誘導法
ベルンハイムは、被験者に目を閉じさせ、リラックスした状態にさせた後、落ち着いた声で繰り返し暗示を与えることで催眠状態を誘導しようとしました。彼は、この方法によって被験者に様々な暗示効果を引き起こすことができると主張しました。
ベルンハイムの理論の影響
ベルンハイムの理論は、当時の医学界に大きな影響を与え、催眠術に対する見方を大きく変えました。彼の研究は、ジャン・マルタン・シャルコーやヒッポリート・ベルネームなどの後続の研究者に影響を与え、催眠術が医学や心理学の分野で広く研究されるきっかけとなりました。
ベルンハイムの理論への批判
ベルンハイムの理論は、その後、多くの批判にさらされることになります。特に、彼の理論では説明できない催眠現象が存在することが指摘されました。例えば、催眠状態にある被験者が、意識的に偽る動機がないにもかかわらず、催眠誘導者の意図に反する行動をとることがあるという現象は、ベルンハイムの理論では説明がつきません。
現代の催眠術
現代の催眠術は、ベルンハイムの理論を基盤としつつも、その後の研究成果を取り入れ、発展を続けています。現代の催眠術は、医療分野における疼痛管理や禁煙治療、心理療法におけるトラウマ治療や不安障害の治療など、幅広い分野で応用されています。