ベルンハイムの催眠術の理論と実際の原点
ベルンハイムと動物磁気説
フランツ・アントン・メスメル（1734-1815）によって提唱された動物磁気説は、18世紀後半に大きな議論を巻き起こしました。メスメルは、人間を含むすべての生物に「動物磁気」と呼ばれる目に見えない流体が流れており、この流体の流れが滞ると病気になると考えました。そして、催眠術を用いることでこの流れを調整し、病気を治療できると主張しました。
マルク・ド・ピュイセギュールの影響
メスメルの弟子であったアルマン・マリー・ジャック・ド・シャステネ・ド・ピュイセギュール侯爵（1751-1825）は、師とは異なる見解を持つようになりました。彼は、動物磁気よりも被催眠者の想像力が重要であることを発見し、催眠状態を「人工的な夢遊病」と呼びました。
ベルンハイムの登場
19世紀初頭、ドイツの医師フランツ・アントン・メスメル（1756-1819）は、動物磁気説に対して懐疑的な立場を取っていました。彼は、催眠現象を科学的に解明しようと試み、数多くの実験を行いました。
「想像による病気とその治療について」の出版
1811年、ベルンハイムは「想像による病気とその治療について」を出版し、催眠現象を「暗示」によって説明しました。彼は、催眠状態は被催眠者の想像力が暗示によって刺激されることで生じるものであり、動物磁気のような神秘的な力は存在しないと結論付けました。