## ベルタランフィの一般システム理論の原点
生物学における「有機体論」
ベルタランフィは、もともと生物学者として生物を研究していました。当時の生物学は、要素還元主義的なアプローチが主流であり、生物を個々の要素に分解して理解しようとする風潮が強かったのです。しかし、ベルタランフィは、生物を構成する要素をいくら分析しても、生命現象全体を理解することはできないと考えました。生物は、部分の総和以上のものとして、全体として統合され、相互作用するシステムであると考えたのです。
全体論的な視点の必要性
彼は、生物を全体として捉え、その相互作用や組織化の原理を解明することが重要であると考え、「有機体論」を提唱しました。有機体論は、生物を自己組織化し、自己調整するシステムと捉え、その全体としての特性や挙動を理解しようとするアプローチです。ベルタランフィは、この有機体論の考え方を生物学だけでなく、他の分野にも応用できるのではないかと考え始めました。
様々な学問分野との共通点
彼は、物理学、化学、社会学、心理学など、様々な学問分野において、共通する問題意識や概念を見出しました。例えば、物理学における熱力学の概念や、社会学における集団行動の分析などです。これらの分野では、要素還元主義的なアプローチでは捉えきれない、複雑なシステムとしての側面が注目され始めていました。
一般システム理論の提唱
そこでベルタランフィは、これらの共通する問題意識や概念を統合し、あらゆるシステムに適用可能な一般的な理論を構築しようと試みました。これが「一般システム理論」です。彼は、生物、社会、機械など、様々なシステムに共通する構造や原理を明らかにすることで、システムの全体像を理解し、その振る舞いを予測することを目指しました。