## ベルクソンの時間と自由を読む
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ベルクソンの哲学入門
アンリ・ベルクソンは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの哲学者です。彼の思想は、伝統的な哲学、特にイマヌエル・カントの思想に対する批判を出発点としています。ベルクソンは、カント哲学が理性中心主義に陥り、人間の経験の豊かさを捉えきれていないと批判しました。
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「時間と自由」の中心テーマ:持続と自由
1889年に発表された主著『時間と自由』において、ベルクソンは人間の自由意志の問題を時間意識の分析を通して探求しています。 彼は、伝統的な哲学が時間を空間的に捉え、過去・現在・未来を均質な点の連続として理解してきたことを批判します。
ベルクソンにとって、時間は決して均質ではなく、質的な差異に満ちた流れ、すなわち「持続」として体験されます。 過去の経験は現在においても生き続け、未来の可能性へと開かれています。
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自由は持続における創造
真の自由とは、この持続する時間の中で、絶えず変化する自己を意識し、新たな行動を選択することです。 ベルクソンの自由は、決定論と非決定論の二項対立を超越し、過去の束縛を受けながらも未来を創造していく人間の可能性を力強く主張しています。
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「時間と自由」を読む上でのポイント
「時間と自由」は、ベルクソンの思想のエッセンスが詰まった重要な著作ですが、その内容は非常に難解です。 彼の独特な時間論を理解するためには、伝統的な時間概念を一度解体し、自身の内的な時間意識に深く向き合うことが求められます。
また、本書では心理学、生物学、物理学など幅広い分野の知見が動員されており、ベルクソンの博識さを垣間見ることができます。