## ベルクソンの時間と自由の構成
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序論
本書の目的は、自由という問題の古典的な解決法を批判し、自由という事実に対する理解を深めることである。伝統的な決定論と非決定論の議論は、どちらも持続と変化という問題を十分に扱いきれていない。ベルクソンは、真の持続を理解することによってのみ、自由の問題を適切に捉えることができると主張する。
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第一章 自由という問題の提示
本章では、自由の問題がどのように提起され、伝統的にどのように扱われてきたかを概観する。まず、自由の概念と、それがなぜ哲学的に問題となるのかを明確化する。次に、決定論と非決定論の主要な議論を紹介し、それぞれの立場が抱える問題点を指摘する。ベルクソンは、これらの伝統的な立場が自由の経験的現実を説明するのに不十分であると主張し、新しい視点の必要性を提示する。
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第二章 数の空間化と持続の誤謬
本章では、伝統的な自由の問題の捉え方が、時間に対する誤った理解に基づいていることを批判する。ベルクソンは、私たちが通常「時間」と呼んでいるものは、空間化された時間、すなわち数量的に分割可能な時間であると指摘する。この空間化された時間概念は、持続という時間の真の本質を見失わせるものであり、決定論と非決定論の両方の立場を支える誤謬となっている。
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第三章 持続と自由
本章では、ベルクソン哲学の中心概念である「持続」について詳細に説明する。持続とは、質的に異なり、不可逆的に流れる時間の流れである。それは、分割不可能な全体であり、過去の状態が現在の状態に影響を与え続ける。ベルクソンは、この持続の概念こそが、自由という問題を解決する鍵となると主張する。
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第四章 自由と人格
本章では、持続の概念に基づいて、自由と人格の関係を考察する。ベルクソンは、人格を静的な実体ではなく、絶えず変化し続ける動的なプロセスとして捉える。そして、真の自由とは、この人格の深層から湧き上がる自発的な行為であると主張する。この自由な行為は、過去の経験の蓄積と現在の状況の相互作用によって生み出されるものであり、完全に決定されたものでも、完全にランダムなものでもない。
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結論
本書は、持続の概念を通して、自由という問題に対する新しい視点を提示した。ベルクソンは、伝統的な決定論と非決定論の二項対立を超えて、人間の自由の経験的現実を説明する枠組みを提供したと言えるだろう。