## ベネディクトの文化の型を読む
ルース・ベネディクトと『文化の型』
ルース・ベネディクト(1887-1948)は、アメリカの文化人類学者です。彼女は、フランツ・ボアズの指導のもとコロンビア大学で学び、生涯にわたり同大学で教鞭をとりました。ベネディクトは、文化相対主義の立場から、文化の多様性と独自性を強調しました。
『文化の型』(Patterns of Culture)は、ベネディクトの代表作であり、1934年に出版されました。本書は、文化人類学の古典として広く読まれており、今日でもその影響力は大きいと言えます。
『文化の型』の内容
ベネディクトは、『文化の型』の中で、文化を「個人の行動を形作る、学習された行動様式」と定義しています。彼女は、個々の文化はそれぞれ独自の「型」を持っており、その型が人々の行動や思考様式に影響を与えると主張しました。
本書では、具体例として、北アメリカのズニ族、ニューギニア島のドーブー族、メラネシアのクワキウトル族という三つの部族の文化が詳しく分析されています。ベネディクトは、それぞれの部族の文化を、その社会における宗教、芸術、経済活動、家族関係など、多様な側面から考察し、それぞれの文化が持つ独自の「型」を明らかにしようと試みました。
『文化の型』の特徴
『文化の型』は、文化相対主義の視点から書かれた、先駆的な著作として評価されています。ベネディクトは、自文化中心主義を排し、それぞれの文化を、その文化独自の論理に基づいて理解しようとしました。
また、『文化の型』は、文化を全体的なシステムとして捉え、その構成要素間の相互作用を重視している点も特徴です。ベネディクトは、文化の各要素は独立して存在するのではなく、互いに影響を与え合いながら、一つの全体を構成していると主張しました。
『文化の型』の影響
『文化の型』は、出版当時から大きな反響を呼び、文化人類学だけでなく、社会学、心理学、教育学など、様々な分野に影響を与えました。特に、文化相対主義の普及に大きく貢献したとされています。
今日においても、『文化の型』は、文化の多様性を理解するための重要なテキストとして、世界中で読み継がれています.