## ベネディクトの文化の型の表現
文化を人格の投影とする見方
ルース・ベネディクトは、文化を「人格の投影」と捉えました。これは、文化を個人の性格と同様に、全体としての一貫性や統一性を持ったパターンとみなす考え方です。彼女は、個人の人格が、その人の行動や思考様式に影響を与えるように、文化もまた、その文化に属する人々の行動や思考様式に影響を与えると考えました。
「文化の型」と「文化の構成要素」
ベネディクトは、個々の文化を特徴づけるパターンを「文化の型」と呼びました。そして、この「文化の型」は、宗教、芸術、言語、習慣などの「文化の構成要素」の組み合わせによって形成されると考えました。これらの要素は、互いに影響し合いながら、複雑に絡み合い、それぞれの文化に特有のパターンを作り出すと彼女は論じています。
「文化相対主義」の視点
ベネディクトは、文化を理解する上で「文化相対主義」の視点を重視しました。これは、ある文化の価値観や行動様式を、その文化自身の文脈の中で理解しようとする考え方です。彼女は、自身の文化の価値観を基準に他の文化を評価することを避け、それぞれの文化を、それぞれの歴史や社会構造、環境などに基づいて理解する必要があると主張しました。
表現における限界
ベネディクトの「文化の型」という概念は、文化を理解するための有効な枠組みを提供する一方で、その表現には限界も指摘されています。例えば、「文化」をあたかも静的なものとみなしている点や、「文化」と「個人」の関係性を十分に説明しきれていない点などが挙げられます。しかし、彼女の提唱した「文化相対主義」の視点は、現代の文化人類学においても重要な概念として受け継がれています。