## ベネディクトの文化の型の技法
###
文化の諸要素を統合するパターン
ルース・ベネディクトは、文化を「生活様式」と捉え、個々の文化において、その構成員の行動、思考、感情などに影響を与える、全体的なパターンや傾向が存在すると考えました。
ベネディクトは、文化を理解するためには、個々の文化要素をバラバラに分析するのではなく、それらがどのように相互に関連し、統合されたパターンを形成しているかを理解することが重要であると主張しました。
###
主要な文化の型：アポロ型とディオニュソス型
ベネディクトは、著書「文化の型」の中で、文化を分析するための枠組みとして、古代ギリシャの神話に登場するアポロンとディオニュソスという対照的な二つの神を象徴的に用い、「アポロ型」と「ディオニュソス型」という二つの主要な文化の型を提示しました。
* **アポロ型文化:** 調和、秩序、理性、自制心を重視する文化。
* **ディオニュソス型文化:** 情熱、感情、超越的な体験、自己放棄を重視する文化。
ベネディクトは、この二つの型を対極として、それぞれの文化がどちらの傾向をより強く持っているかを分析することで、その文化の特徴や価値観を理解できると考えました。
###
文化相対主義
ベネディクトは、文化を理解する上で、自文化中心主義に陥らず、文化相対主義の視点を持つことが重要であると強調しました。 文化相対主義とは、それぞれの文化は独自の価値観や規範を持ち、それらはそれぞれの文化の文脈の中で理解されるべきであるという考え方です。
ベネディクトは、ある文化の慣習や価値観を、他の文化の基準で判断したり、優劣をつけたりすることはできないと主張しました。
###
民族誌に基づいた研究
ベネディクトは、文化の型を分析するにあたって、詳細な民族誌に基づいた研究を重視しました。彼女は、文化を深く理解するためには、その文化に属する人々の生活様式、習慣、信仰、価値観などを、長期にわたって観察し、記録することが必要であると考えました。
###
文化の型は静的なものではない
ベネディクトは、文化の型は固定されたものではなく、時間とともに変化しうることを認識していました。 彼女は、文化は外部からの影響や、内部からの変化によって、常に変容していく動的なシステムであると捉えていました。