## ベネディクトの文化の型の感性
感性の文化相対性
ルース・ベネディクトは、彼女の代表作『文化の型』の中で、文化を「人格の様式」と定義し、それぞれの文化が独自の価値観や行動様式を持つことを主張しました。この考え方は、文化相対主義と呼ばれるものであり、ある文化の価値観や行動様式を、別の文化の基準で判断することはできないとする立場です。
アポロニア型とディオニソス型
ベネディクトは、文化の型を説明するために、ニーチェの哲学から「アポロニア型」と「ディオニソス型」という二つの類型を用いました。アポロニア型は、理性や秩序、調和を重視する文化であり、ディオニソス型は、感情や陶酔、超越を重視する文化です。
プエブロ文化:アポロニア型の例
ベネディクトは、アメリカ先住民のプエブロ文化をアポロニア型の例として挙げました。プエブロ文化は、穏やかで協調性を重視し、過剰な感情表現を抑制する傾向があります。彼らの宗教儀式も、厳粛で抑制されたものであり、陶酔や恍惚状態を重視するものではありません。
ドーブー文化:ディオニソス型の例
一方、ニューギニア島のドーブー文化は、ディオニソス型の例として挙げられています。ドーブー文化は、感情表現が豊かで、競争や対立を好みます。彼らの宗教儀式は、熱狂的で恍惚状態を伴うものが多く、シャーマンが重要な役割を果たします。
文化と個人の感性の関係
ベネディクトは、文化が個人の感性に大きな影響を与えると考えました。それぞれの文化は、良しとされる感情の表し方や、抑圧すべき感情の種類を規定しています。例えば、プエブロ文化では、怒りや攻撃性を表に出すことは抑制されますが、ドーブー文化では、これらの感情を表現することが奨励されます。
感性の多様性への理解
ベネディクトの文化の型は、世界の文化の多様性と、それぞれの文化における感性の違いを理解する上で重要な視点を提供しています。彼女の研究は、文化相対主義の重要性を示すとともに、人間の感性の複雑さを明らかにしました。