## ベネディクトの文化の型の分析
文化の型とは
ルース・ベネディクトは、アメリカの文化人類学者で、文化相対主義を主張した人物として知られています。彼女は、1934年に出版された著書『文化の型』の中で、文化を「人々が共有する行動や思考の様式」と定義し、それぞれの文化は独自の型を持っていると主張しました。
ベネディクトの主張
ベネディクトは、文化を理解するためには、個々の文化要素をバラバラに観察するのではなく、それらがどのように組み合わさり、全体としてどのようなパターンを形成しているのかを理解する必要があると主張しました。彼女は、文化を統合された全体として捉え、その内部における行動、信念、価値観、習慣などの相互作用を分析することの重要性を強調しました。
文化の型における対比
ベネディクトは、『文化の型』の中で、北アメリカの先住民族であるズニ族、ドービュー族、クワキウトル族の文化を比較分析し、それぞれの文化が持つ独自の型を明らかにしました。彼女は、これらの文化を対比するために、「アポロ型文化」と「ディオニュソス型文化」という概念を用いました。
* **アポロ型文化:** 穏やかで自制心を重んじる文化。調和と秩序を重視し、個人よりも共同体を優先する傾向がある。
* **ディオニュソス型文化:** 感情表現が豊かで、競争的で、自己主張の強い文化。個人の能力や業績を重視する傾向がある。
ベネディクトは、ズニ族の文化をアポロ型文化の典型例として挙げ、ドービュー族の文化をディオニュソス型文化の典型例として挙げました。一方、クワキウトル族の文化は、両方の要素を併せ持つ複雑な文化として描かれています。
文化の型が個人に及ぼす影響
ベネディクトは、文化の型が、個人の性格形成や行動様式に大きな影響を与えると考えました。彼女は、文化が個人の内面に深く根付いた価値観や規範を提供し、それが個人の思考、感情、行動を方向づけると主張しました。
ベネディクトの研究の意義
ベネディクトの文化の型の概念は、文化人類学において大きな影響を与えました。彼女の研究は、文化の多様性と相対性を理解することの重要性を示し、文化相対主義の考え方を広めることに貢献しました。また、文化が個人の人格形成に大きな影響を与えることを示唆した点も、その後の心理学や教育学などの分野に大きな影響を与えました。