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ベネディクトの文化の型と人間

## ベネディクトの文化の型と人間

文化の型とは

ルース・ベネディクトは、文化人類学者として、文化を「伝統的な思考や行動様式を表現する、互いに関連し合った行動や態度のパターン」と定義し、それぞれの文化が独自の型を持っていると考えました。この考え方を「文化の型」と呼びます。

ベネディクトの文化相対主義

ベネディクトは、文化を理解するためには、それぞれの文化を独自の価値観や規範を持つ独立した体系として捉える必要があると主張しました。これは、ある文化の価値観や行動様式を別の文化の基準で評価するのではなく、その文化自身の文脈の中で理解しようとする考え方で、「文化相対主義」と呼ばれています。

文化とパーソナリティ

ベネディクトは、文化が個人のパーソナリティ形成に大きな影響を与えると考えました。彼女は、文化が個人の行動、思考、感情を形作り、それぞれの文化が理想とするパーソナリティ類型を育むと論じました。

『文化の諸様式』における文化の型の提示

ベネディクトは、著書『文化の諸様式』の中で、北米の先住民であるズニ族、ドーブー族、クワキウトル族の文化を比較研究し、それぞれの文化が独自の型を持っていることを示しました。

ズニ族:「穏健型」

ズニ族は、協調性や自制心を重視する文化を持ち、ベネディクトはこれを「穏健型」と呼びました。彼らは、競争や自己主張よりも、集団の調和と安定を重視し、感情を抑え、穏やかな態度で行動することを美徳としていました。

ドーブー族:「偏執型」

ドーブー族は、猜疑心が強く、他人を信用しない文化を持ち、ベネディクトはこれを「偏執型」と呼びました。彼らは、魔法や呪術が日常生活に浸透しており、常に他者から危害を加えられることを恐れていました。

クワキウトル族:「誇示型」

クワキウトル族は、競争心や自己顕示欲が非常に強い文化を持ち、ベネディクトはこれを「誇示型」と呼びました。彼らは、ポトラッチと呼ばれる儀式で、財産を競って贈与し、自らの権威や名声を誇示しました。

ベネディクトの研究の影響と批判

ベネディクトの研究は、文化人類学に大きな影響を与え、文化相対主義の考え方を広めました。しかし、文化を類型化しすぎたという批判や、文化とパーソナリティの関係を単純化しすぎたという批判も存在します。

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