## ヘルダーの言語起源論の原点
### 1770年のベルリン・アカデミー賞懸賞論文
ヘルダーの言語起源論は、1770年にベルリン・アカデミーが提示した賞懸賞論文、「人間に言語が神によって与えられたのか、それとも人間自身が発明したものなのかを証明せよ」に対する回答として執筆されました。この論文においてヘルダーは、言語は人間自身によって創造されたという立場を主張しました。
### ヘルダーの主張:言語は人間の能力の産物
ヘルダーは、人間が動物と異なるのは、思考する力、すなわち「反省」(Reflexion)の能力を持つ点にあると考えました。「反省」とは、自身の感覚や感情を客観的に捉え、意識化する能力を指します。
ヘルダーによれば、言語は人間が「反省」を通して獲得した概念を表現するために、自発的に生み出されたものです。彼は、人間が外界の事物と内的感覚を結びつけ、それを音によって表象することで、言語が形成されたと論じました。
### ヘルダーの言語観:言語は思考と不可分
ヘルダーは、言語を単なるコミュニケーションの道具としてではなく、人間の思考と密接に結びついたものと捉えました。彼にとって言語とは、思考を形作り、文化を伝達する上で欠かせない要素でした。
彼の言語起源論は、当時の言語学に大きな影響を与え、後の言語学、哲学、人類学の発展にも貢献しました。