ヘミングウェイの誰がために鐘は鳴るの話法
ヘミングウェイの簡潔な文体
ヘミングウェイは無駄を削ぎ落とした簡潔な文体で知られています。「誰がために鐘は鳴る」でも、短い文や平易な語彙を多用することで、緊迫感や臨場感を生み出しています。例えば、戦闘シーンなどでは、短い文を矢継ぎ早に並べることで、登場人物の緊迫した状況や心情を読者にダイレクトに伝えています。
対話文の多用
ヘミングウェイは登場人物たちの性格や関係性を、主に彼らの対話を通して描き出しています。「誰がために鐘は鳴る」では、地の文よりも対話文が多くを占めており、登場人物たちの考えや感情、背景などが、彼らの言葉を通して自然に浮かび上がってくるようになっています。また、スペイン語の表現をところどころに交えることで、異国情緒や戦争のリアリティを高めています。
三人称視点と内的 monologue
物語は基本的に三人称視点で語られますが、しばしば主人公であるロバート・ジョーダンの視点に寄り、彼の思考や感情が詳細に描写されます。これは、ヘミングウェイがよく用いた「内的 monologue」と呼ばれる手法であり、読者はジョーダンの内面世界に深く入り込み、彼の葛藤や成長をより身近に感じ取ることができます。
象徴主義
ヘミングウェイは「誰がために鐘は鳴る」の中で、様々な象徴を用いることで、テーマや登場人物の心情を表現しています。例えば、橋は物語の重要な舞台となるだけでなく、主人公たちの目的や運命を象徴するものとして描かれています。また、登場人物の名前や出身地なども、彼らの性格や運命を暗示するものとして解釈することができます。