## プーシキンのエウゲニー・オネーギンの周辺
プーシキンの時代背景と作品の位置づけ
アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン（1799-1837）は、ロシア文学を代表する国民的詩人です。彼は帝政ロシア時代の貴族社会に生まれ、フランス語で教育を受けながらも、ロシアの民衆文化にも深い関心を抱いていました。
プーシキンは、詩、戯曲、小説など幅広いジャンルで活躍しましたが、中でも1823年から1830年にかけて執筆された韻文小説『エウゲニー・オネーギン』は、彼の最高傑作と称されています。この作品は、当時のロシア社会における貴族たちの生活、恋愛、友情、葛藤などを繊細かつ写実的に描写しており、19世紀ロシア文学の金字塔と位置づけられています。
作品の概要と主な登場人物
『エウゲニー・オネーギン』は、ペテルブルクの上流社会に生きる退屈な青年貴族エウゲニー・オネーギンと、純粋な田舎娘タチヤーナ・ラリーナとの悲恋を中心とした物語です。
主な登場人物は以下の通りです。
* **エウゲニー・オネーギン:** ペテルブルクの社交界に飽き飽きしている、知的で皮肉屋の青年貴族。
* **タチヤーナ・ラリーナ:** 田舎に住む純粋で夢見がちな少女。オネーギンに恋心を抱く。
* **ウラジーミル・レンスキー:** オネーギンの友人。ロマンチストな詩人で、タチヤーナの妹オルガと婚約している。
* **オルガ・ラリーナ:** タチヤーナの妹。快活で社交的な性格。
作品の特徴
『エウゲニー・オネーギン』は、韻文小説という独特な形式で書かれています。韻律は、14行から成る「オネーギン詩節」と呼ばれるプーシキン独自の形式が用いられています。
また、作品内には作者自身が登場するなど、メタフィクション的な要素も含まれています。さらに、ロシアの風景描写、民衆文化、当時の社会風刺などが巧みに織り交ぜられている点も特徴です。