## プルードンの経済的諸矛盾の体系からの学び
プルードンは1846年に「経済的諸矛盾の体系、あるいは労働の哲学における貧困」という著作を発表し、当時の経済学、特にアダム・スミスの自由放任主義経済学を批判しました。プルードンはこの著作の中で、既存の経済システムにおける様々な矛盾を指摘し、独自の経済理論を展開しました。以下では、プルードンの主要な論点とその内容について詳しく解説します。
所有権の矛盾
プルードンは、「所有権とは盗みである」という有名な言葉で表されるように、私的所有権を批判しました。彼は、労働こそが価値の源泉であると主張し、労働によって生み出された価値を独占する所有権は不当であるとしました。
プルードンは、所有権が労働の搾取を生み出すと主張しました。彼は、資本家が労働者に対して、労働者が生み出す価値よりも低い賃金を支払うことで、剰余価値を搾取していると指摘しました。そして、この剰余価値こそが、資本家の富の源泉であるとしました。
競争と独占の矛盾
プルードンは、自由競争は必ず独占を生み出すという矛盾を指摘しました。彼は、自由競争の結果、一部の企業が市場を支配し、独占的な利益を得るようになると主張しました。そして、この独占こそが、経済的不平等と社会不安の根源であるとしました。
彼は、自由競争は、実際には自由でも公正でもないことを明らかにしようとしました。彼は、自由競争は、すでに資本や資源を持っている者が有利になるように仕組まれたゲームのようなものだと主張しました。そして、このゲームの勝者は、さらに多くの資本と資源を蓄積し、敗者はますます貧しくなるという悪循環に陥るとしました。
国家と社会の矛盾
プルードンは、国家は、所有権と自由競争によって生み出された矛盾を解決するどころか、むしろ悪化させていると批判しました。彼は、国家は、支配階級の利益を守るために存在しており、労働者階級の利益を犠牲にしていると主張しました。
プルードンは、国家による介入は、経済の自由を阻害し、独占を助長するだけだと考えました。彼は、国家は、経済活動から撤退し、個人や労働組合に、自由に経済活動を行う権利を与えるべきだと主張しました。
プルードンは、アナーキストとして知られていますが、彼は無秩序状態を望んでいたわけではありません。彼は、国家による強制力ではなく、相互扶助と自由な契約に基づいた社会を構想していました。彼は、このような社会においてのみ、真の自由と平等が実現されると信じていました。