プルーストの失われた時を求めてを読む前に
プルーストと「失われた時を求めて」について
マルセル・プルースト(1871-1922)は、フランスを代表する小説家の一人であり、「失われた時を求めて」は、20世紀文学の最高傑作の一つと広く認められています。全7篇からなる大作で、4000ページを超え、登場人物は2000人以上に及びます。プルーストは、1909年から執筆を開始し、死の直前まで推敲を続けました。この作品は、プルースト自身の子供時代と青年時代を題材に、時間、記憶、意識、愛、喪失、芸術などのテーマを深く掘り下げています。
心構え:時間と忍耐
「失われた時を求めて」は、決して気軽に読める小説ではありません。時間と忍耐、そして、プルーストの独特な文体に浸る覚悟が必要です。長大な文章、複雑な比喩、登場人物たちの内面を延々と追いかける描写など、現代の小説のテンポに慣れた読者にとっては、最初のうちは戸惑うかもしれません。しかし、プルーストの織りなす美しい文章、鋭い観察眼、人間心理の深淵を覗き込むような描写に身を委ねることで、比類なき読書体験を得ることができるでしょう。
予備知識は必要?
「失われた時を求めて」を楽しむために、特別な知識は必要ありません。プルーストは、当時のフランス社会、芸術、文化を背景に物語を展開していますが、作品世界に没頭することで、自然と理解が深まります。ただし、19世紀末から20世紀初頭のフランスの歴史や文化、特に、印象派の美術やワグナーの音楽について、ある程度の知識があれば、作品をより深く理解することができます。
読書方法:自分なりのペースで
「失われた時を求めて」は、一気に読み通す必要はありません。毎日数ページずつ読む、興味のある部分だけをピックアップして読む、何度も読み返すなど、自分に合ったスタイルで楽しむことが大切です。あらすじや解説書を参考にすることも有効ですが、まずはプルーストの文章と向き合い、自分自身の感覚で作品世界を体験することをお勧めします。
翻訳について
「失われた時を求めて」は、これまで多くの翻訳者が日本語に訳してきました。それぞれの翻訳者に個性があり、文体や訳語の選択も異なります。そのため、複数の翻訳を読み比べてみるのも良いでしょう。
読書会やオンラインコミュニティの活用
「失われた時を求めて」は、一人で読むには大変な作品です。読書会に参加したり、オンラインコミュニティで他の読者と感想を共有したりすることで、モチベーションを維持し、理解を深めることができます。