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プルーストの失われた時を求めての対称性

## プルーストの失われた時を求めての対称性

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構成上の対称性

全7篇から成る「失われた時を求めて」は、一見すると時系列に沿って物語が進行するかに見えますが、実際には複雑な構成上の対称性を内包しています。例えば、第1篇「スワン家のほうへ」と第7篇「見出された時」は、それぞれ「マドレーヌ」と「鐘の音」という、過去の記憶を呼び覚ます感覚体験を重要なモチーフとして対照的に描かれています。

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モチーフの対称性

作中には、「マドレーヌ」と「鐘の音」以外にも、対称的に配置されたモチーフが多数存在します。例えば、「スワン家のほうへ」におけるスワンとオデットの恋愛模様は、「ソドムとゴモラ」以降における主人公とアルベルチーヌの恋愛模様と対比されています。どちらも、愛と嫉妬、所有欲といった普遍的なテーマを扱っており、登場人物たちの年齢や社会的地位が変わっても、人間の感情の複雑さは変わらないことを浮き彫りにしています。

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時間表現の対称性

プルーストは、客観的な時間ではなく、人間の主観的な時間に着目し、それを「意識の流れ」という手法を用いて描き出しました。過去の記憶は、現在の何気ない感覚体験によって呼び覚まされ、過去と現在は複雑に交錯します。この時間表現における対称性は、「失われた時を求めて」という作品全体のテーマを象徴的に表しています。

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