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プルーストの失われた時を求めての対極

## プルーストの失われた時を求めての対極

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プルーストの特徴:内面世界の探求と時間の流れ

マルセル・プルーストの代表作「失われた時を求めて」は、20世紀文学を代表する作品の一つとして、その長大な文章と複雑な構成で知られています。しかし、この作品を特徴づけるのは、何よりもその内省的な語り口と、意識の流れに沿って展開される時間描写にあります。

プルーストは、過去の記憶や感覚が、ふとしたきっかけで鮮やかに蘇る様子を、詳細な描写で描き出します。香りの持つ記憶喚起力や、過去の出来事に対する現在の視点からの解釈など、人間の意識の深淵を、時間軸を行き来しながら探求していく点が、この作品の最大の特徴と言えるでしょう。

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対極にある文学:客観性と社会の描写

では、「失われた時を求めて」の対極に位置する作品とは、どのような作品群なのでしょうか。それは、プルーストとは対照的に、客観的な視点から社会や歴史を描いた作品群と言えるでしょう。

例えば、エミール・ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」は、第二帝政下のフランス社会を、遺伝と環境という視点から、壮大なスケールで描き出した作品です。個人の内面よりも、社会全体の構造や、そこに生きる人々の集合的な行動に焦点が当てられています。

また、トルストイの「戦争と平和」も、ナポレオン戦争という歴史的事件を舞台に、ロシア貴族社会の興亡を描いた作品です。登場人物は、歴史のうねりの中で翻弄されながらも、それぞれの運命を生きていきます。プルーストの内省的な世界とは対照的に、人間の意思を超越した大きな力、歴史のうねりを描き出す点が特徴です。

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対極における共通点:人間存在への探求

「失われた時を求めて」と、その対極に位置する作品群は、一見全く異なる方向を向いているように見えます。しかし、どちらも根底には、人間存在に対する深い洞察があります。

プルーストは、人間の意識というミクロな世界を通して、時間と記憶の本質に迫ろうとしました。一方、ゾラやトルストイは、社会や歴史というマクロな視点から、人間存在の条件や、人生の意味を問いかけています。

手法やテーマは異なっても、どちらも人間の存在という根源的な問題に取り組んでいるという点で、共通していると言えるのではないでしょうか。

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