プルタークの英雄伝を読んだ後に読むべき本
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塩野七生 ローマ人の物語
プルタークの『英雄伝』は、古代ギリシャとローマの著名な人物の伝記を対比しながら描いた作品であり、読者に対し、古代世界における政治、戦争、文化、そして何よりも人間の性格というものを深く考察する機会を与えてくれます。この作品を読み終えたとき、読者の心には、歴史の壮大な流れと、その流れの中で生きた人々の生き様に対する深い感動が残ることでしょう。
もしあなたが『英雄伝』を読み終え、古代ローマという世界にさらに深く足を踏み入れたいと思ったなら、塩野七生の『ローマ人の物語』はまさにうってつけの一冊と言えるでしょう。全15巻、7000ページを超えるこの大作は、古代ローマという国家の誕生から滅亡までを、歴史上の出来事だけでなく、そこに生きた人々の思想や生活、文化、社会構造までをも克細に描き出しています。
『英雄伝』が、個人の生き様を通して歴史を浮かび上がらせる作品だとすれば、『ローマ人の物語』は、歴史という巨大な流れの中に個人がどのように位置づけられるのかを描き出す作品と言えるかもしれません。『英雄伝』で出会った英雄たちの物語を、より大きな歴史の文脈の中で捉え直すことで、彼らの行動や決断の意義がより鮮明に浮かび上がってくることでしょう。
例えば、『英雄伝』でカエサルの生涯に感銘を受けた読者は、『ローマ人の物語』の中で、彼の行ったガリア戦争がローマという国家に何をもたらし、彼の政治的野心が共和制末期のローマにどのような影響を与えたのかを知ることができます。また、『英雄伝』で描かれたギリシャ世界のその後についても、『ローマ人の物語』を読むことで、ローマ帝国の一部として組み込まれていく過程を追体験することができます。
『英雄伝』を読み終えた後、『ローマ人の物語』という壮大な旅に出ることで、古代世界に対する理解をより深め、歴史という大きな流れの中に個人がどのように生きてきたのか、そして個人が歴史にどのように影響を与え得るのかについて、新たな視点を得ることができるでしょう。