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プルタークの英雄伝の批評

## プルタークの英雄伝の批評

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史料としての価値

「英雄伝」は、古代ギリシャ・ローマ時代の著名な政治家や軍人を対比列伝形式で描いた作品です。プルタークは道徳的な観点から人物像を描写することに重点を置いており、歴史書というよりはむしろ倫理書としての性格が強い点が特徴です。

そのため、歴史的な事実関係や年代考証の正確性には欠ける部分も指摘されています。プルターク自身も一次資料を精査することよりも、伝承や逸話を重視する傾向がありました。これは彼が、歴史的事実の記録よりも、人物の性格や行動を通して読者に倫理的な教訓を伝えることを重視していたためです。

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文学作品としての評価

「英雄伝」は、プルタークの優れた文章力と人物描写の巧みさによって、古代から現代に至るまで広く読まれ続けています。登場人物の生き生きとした描写や、劇的なエピソードの数々は、読者に深い感銘を与えます。また、対比列伝形式を採用することで、異なる文化圏に属する人物像を際立たせ、読者に多角的な視点を与えている点も特徴です。

一方で、修辞的な技巧を凝らした文体や、時折挿入される長広舌は、現代の読者には冗長に感じられることもあります。また、プルターク自身の道徳観に基づいた人物評価は、現代の価値観とは異なる部分もあるため、注意深く読み解く必要があります。

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後世への影響

「英雄伝」は、西洋文学や思想に多大な影響を与えました。シェイクスピアをはじめとする多くの作家が、その物語や人物像を題材とした作品を創作しました。また、ルネサンス期以降、古代ギリシャ・ローマ文化への関心が高まる中で、「英雄伝」は広く読まれ、当時の政治家や思想家に影響を与えました。

現代においても、「英雄伝」は古典として読み継がれており、人間の持つ普遍的な問題や、リーダーシップ、倫理といったテーマについて考えるための示唆を与えてくれます。

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