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プルタークの英雄伝の対極

プルタークの英雄伝の対極

英雄の不在:タキトゥスの「年代記」における権力と堕落の記録

「プルタークの英雄伝」が、高潔な人格者たちの生涯を通して理想的な生き方を提示しようとするのに対し、タキトゥスの「年代記」は、権力闘争や陰謀、堕落にまみれたローマ帝国の暗部を容赦なく描き出す歴史書です。そこには、プルタークが称賛するような英雄の姿は見当たりません。

対照的な歴史観:理想主義と現実主義の対峙

プルタークが、歴史から倫理的な教訓を引き出し、読者を高潔な行動へと導こうとする「教訓主義」的な立場をとるのに対し、タキトゥスは、人間の業や社会構造の矛盾を冷徹な筆致で描く「現実主義」的な歴史観を提示します。

文体の対比:簡潔な筆致と修辞的技巧の妙

プルタークの文章が、平易で読みやすいことを重視したものであるのに対し、タキトゥスの文体は、簡潔ながらも修辞技巧に富み、読者に解釈の余地を与えるような難解さを孕んでいます。

史料批判:伝承と一次資料

プルタークが、伝承や逸話を交えながら英雄像を構築していくのに対し、タキトゥスは、元老院議員として政治の中枢に身を置いていた自身の経験や、公文書などの一次資料に基づいて、より客観的な歴史記述を目指しています。

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