## プルタークの英雄伝の分析
ギリシャ・ローマの英雄対比録
「プルタークの英雄伝」は、古代ギリシャの著作家プルタルコスによって書かれた、古代ギリシャとローマの著名な人物の伝記集です。原題は「Βίοι Παράλληλοι」（ビオイ・パラレロイ）と言い、「対比列伝」という意味です。本書は、政治家、軍人、立法者など、様々な分野で活躍した人物を、ギリシャ人とローマ人1組ずつ対比させて描くという構成を取っています。
構成と内容
「プルタークの英雄伝」は、全部で50人の人物の伝記で構成されています。そのうち46人は、ギリシャ人とローマ人のペアで描かれ、残りの4人は単独で扱われています。各伝記は、人物の生涯を年代順にたどるのではなく、その人物の性格や行動を浮き彫りにするようなエピソードを中心に構成されています。また、各ペアの伝記の最後には、「σύνκρισις」（シュンクリシス）と呼ばれる比較評が添えられており、プルタルコス自身の歴史観や人間観を垣間見ることができます。
史料としての価値
「プルタークの英雄伝」は、古代ギリシャ・ローマの歴史や文化を知る上で貴重な史料となっています。プルタルコスは、膨大な資料を渉猟し、可能な限り一次資料に基づいて執筆したと言われています。しかし、プルタルコス自身も認めているように、本書は歴史書というよりもむしろ、倫理的な教訓を与えることを目的とした「著作」という側面が強いと言えます。
影響
「プルタークの英雄伝」は、古代から現代に至るまで、西洋文学に多大な影響を与えてきました。特にルネサンス期以降、本書は広く読まれ、数多くの言語に翻訳されました。シェイクスピアをはじめとする多くの作家が、本書から題材やインスピレーションを得ています。