## プルタークの英雄伝に匹敵する本
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スエトニウス「ローマ皇帝伝」
紀元2世紀に書かれた本書は、カエサルからドミティアヌスまでの12人のローマ皇帝の生涯を記した伝記集です。「英雄伝」と同様に、各皇帝の性格、業績、逸話などを詳細に描写しており、古代ローマ史、ひいては西洋史を理解する上で欠かせない古典として知られています。
「英雄伝」がギリシャとローマの偉人を対比させて描いたのに対し、「ローマ皇帝伝」はローマ帝国という特定の時代と地域に焦点を当てている点が特徴です。また、スエトニウスはプルタークよりもゴシップ的な情報を多く盛り込み、皇帝たちの私生活やスキャンダルを赤裸々に描き出しています。
「ローマ皇帝伝」は古代ローマ社会の政治、文化、思想を理解する上で貴重な資料であると同時に、権力者の栄光と転落、人間の光と影を浮き彫りにした作品としても読み継がれています。