Skip to content Skip to footer

プリゴジンの混沌からの秩序を読む前に

プリゴジンの混沌からの秩序を読む前に

複雑系とは何か

プリゴジンは本書で、古典的な熱力学の枠組みを超えて、非平衡状態にある系における自己組織化のプロセスを探求しています。このような系は、生物、生態系、気象パターンなど、自然界に広く見られます。複雑系を理解するには、その基本的な特徴を理解することが不可欠です。

複雑系とは、相互作用する多数の要素から構成され、その相互作用が非線形な挙動を示す系のことです。言い換えれば、系の全体的な挙動は、個々の要素の挙動を単純に合計しただけでは予測できません。複雑系は適応性、創発性、自己組織化などの特性を示します。

なぜ古典的な熱力学では不十分なのか

古典的な熱力学は、平衡状態または平衡状態に近い系の挙動を記述することに重点を置いています。平衡状態では、系は時間の経過とともに変化せず、巨視的な流れはありません。しかし、多くの自然システムは、エネルギーや物質が絶えず流入し、散逸している非平衡状態にあります。古典的な熱力学は、このようなシステムにおける自己組織化や秩序の出現を説明することができません。

散逸構造の概念

プリゴジンが導入した重要な概念の1つは、「散逸構造」の概念です。散逸構造とは、非平衡条件下でのみ維持される秩序化された構造のことです。これらの構造は、環境とのエネルギーや物質の交換を通じて生じ、維持されます。散逸構造は、自己組織化の顕著な例であり、複雑系において秩序がどのようにして出現するかを示しています。

自己組織化の役割

自己組織化は、プリゴジンの研究の中心的なテーマであり、複雑系を理解するための鍵となります。自己組織化とは、外部からの指示や制御なしに、システム内で秩序ある構造やパターンが自発的に出現することです。これは、構成要素間の局所的な相互作用によって駆動され、巨視的な秩序をもたらします。プリゴジンは、非平衡条件が自己組織化のプロセスに不可欠であり、システムが秩序と複雑さを増大させることを可能にすることを主張しています。

熱力学の第二法則とエントロピー

熱力学の第二法則は、孤立系のエントロピーは時間の経過とともに増大すると述べています。エントロピーは、システム内の無秩序またはランダム性の尺度と考えることができます。古典的な熱力学では、エントロピーの増大は秩序の減少につながると考えられてきました。しかし、プリゴジンは、開放系、すなわち環境とエネルギーや物質を交換できる系では、エントロピーは実際に減少し、秩序が出現する可能性があると主張しました。

非線形性と分岐

複雑系は、系の挙動が非線形であることを特徴としています。つまり、入力に対する応答は比例的ではありません。非線形性は、小さな摂動が系全体に大きな影響を与える可能性があるため、複雑系において重要な役割を果たします。システムが臨界点に達すると、複数の可能な経路または状態に分岐する可能性があります。これらの分岐点は、システムが新しい秩序状態に進化する機会を提供します。

「時間の矢」の概念

プリゴジンは、時間の不可逆性と「時間の矢」の概念についても考察しています。古典的な力学では、時間の流れは可逆的であり、つまり物理法則は時間の順方向と逆方向の両方で成り立ちます。しかし、非平衡熱力学では、時間の流れは、秩序構造の出現とエントロピーの増大によって方向付けられます。プリゴジンは、時間を本質的に不可逆なものとみなし、それが宇宙の進化と生命の出現に不可欠であると主張しています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5