## プリゴジンの混沌からの秩序の思想的背景
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非平衡熱力学
プリゴジンは物理化学者であり、特に非平衡熱力学の分野で先駆的な研究を行いました。彼の「混沌からの秩序」という概念は、この分野での彼の業績と密接に関係しています。古典的な熱力学は、主に平衡状態にある系を扱いますが、プリゴジンは平衡から遠く離れた非平衡状態にある系に焦点を当てました。
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散逸構造
プリゴジンは、エネルギーや物質が系から出入りする「開いた系」では、非平衡状態においても秩序立った構造が出現することを発見しました。彼はこの構造を「散逸構造」と名付けました。散逸構造は、外部からのエネルギーや物質の流れによって維持され、流れが止まると崩壊してしまうという特徴があります。
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自己組織化
散逸構造の形成は、外部からの指示や設計ではなく、系自身の内部的な相互作用によって自発的に起こります。プリゴジンは、これを「自己組織化」と呼びました。自己組織化は、生命現象を含む、自然界における秩序形成の基本的なメカニズムであると考えられています。